夜の連続ブログ小説〜カルトの告白(一話完結)




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私はかつてカルト教団と呼ばれる組織に入信していました。今は脱会していますが当時は全く疑いも持たずに信じて活動していました。

そのカルト教団には何年いたんですか?

15年です。二十歳で入信してから人生のすべてを教団に捧げてきました。

入信のきっかけは?

当時の私はまだ若く、自分の存在する意味をずっと探している若者でした。自分は何のために生まれてきたのか?何をすればいいのか?なぜ自分は存在しているのか?そんなことばかりを考えていたんです。そんな時に街で声をかけられました。

入信のお誘いアンケートですか?

初めはボランティア活動に興味はあるか?というアンケートでした。私は世の中の役に立ちたいとずっと考えていたので質問されるまま素直に答えました。そして、あなたにぴったりの活動をしている人たちが集まる場所があると言われました。



その場所に行った時に何だかおかしいなとは思わなかったんですか?

異様な空気感は少し感じました。でも恵まれない子供たちを援助するためのボランティア活動で人手が足らないと言われたんです。自分の中の良心の呵責を刺激するような誘い方をするので一回くらいならば参加してもいいだろうと思ったんです。 

それから教団にハマっていったんですか?

はい、いつの間にか教団のために何でもする人間になっていました。世の中を正しい道に導くための活動だと信じて疑わない状態になっていました。しかも、教団の教義は奇抜でそれまで聞いたこともない真理でした。自分は唯一の真理に巡り会えたのだと本気で思っていました。



15年はかなり長いですね、ほぼあなたの青春は教団に捧げてきたと言っても過言ではありません。反社会的な活動をしている教団だと世間ではかなりバッシングを受けていたはずです。それでも長い間なぜあなたは抜けられなかったんですか?

地獄に落ちるからです。

え?

教団を抜けると例外なく地獄に落ちると信じていたからです。

そういう教義だったんですか?

はい、私は地獄の存在を信じていました。教団での活動は今思うと思考停止そのものだからこそできていたわけです。求められる献金も多額で経済的にもかなりキツい状態でしたが、地獄に落ちるよりはマシだと真剣に思っていました。

つまり教団に逆らうことは死後に地獄が待っていると?

そうです。教団では地獄がいかに苦しく恐ろしい世界であるかを徹底的に教えられます。私は怖くて仕方なかったんです。教団での活動は理不尽なことも多く苦しいことがあまりにも多かったんですが、それ以上に地獄に落ちることが怖くて仕方なかったんです。

あなたは苦しくて教団を抜けたいと思うこともあった。でも地獄に落ちることを考えるとそれを行動に起こすことは到底できなかったということですか?

はい、このまま教団幹部の言われるままに活動を続けている方がまだ楽だと思えました。上から指示されるままに動いていれば自分で考える必要もありませんでした。自分は何のために生きているのか?とか悩む必要も無くなっていました。自分で考えなくても世の中を正しい道に導く活動ができているならば、苦しくてもそれでいいじゃないかと思えました。



そんなに長い間ずっと活動していたあなたがなぜ教団を抜けられたのですか?

家族に監禁されたんです。

ご自分の家族にですか?

はい、脱洗脳プログラムのプロフェッショナルという人物に仕事を依頼して、私の教団からのマインドコントロールを解くように家族がお願いしたことがきっかけでした。

その脱洗脳プログラムとはどんなものだったんですか?

詳しくは話せませんが、催眠と心理学を駆使した治療法です。要するにカルト教団の洗脳は巧みな集団形式によるマインドコントロールです。それを解除するための脱マインドコントロールとなるプログラムを実施するためにある期間監禁されたんです。

抵抗はしなかったんですか?

家族は詳しいことは話さないで私を結果的に監禁状態にしました。騙されたと言えばその通りなんですが、今は感謝しています。

その脱洗脳プログラムを受けている時はどんな感じでしたか?

自分の中にある大きな氷がゆっくり解けていくという感じでした。ポイントは地獄に落ちるという恐怖感からの解放だったような気がします。他にもいろいろありますが詳細は企業秘密ということで他言しないように言われていますので。



そうですか、それでは最後に今のあなたが何か言いたいことはありますか?

まず犯罪までに発展するしないに関わらずこの世の中にはマインドコントロールというものが存在するということです。現実的には憲法で保証された信教の自由に阻まれて国は野放し状態にしています。自分だけはそんなものには引っかからないと誰もが信じて疑わないと思います。でも、それは間違いです。

プロの洗脳システムにかかるとほとんどの人たちが落ちます。たまたまそんな機会に出くわしていないだけなんです。高学歴だろうとそうではなかろうと関係ありません。誰にでも良心というものがありますが、彼らはその誰にでもある良心につけ込んできます。それ故に知らず知らずのうちにハマっていくのです。良いことをして感謝されたいとか自分の存在意義を確かなものとして感じたいという純粋な気持ちを利用されるからです。

肝心なのは異様な空気感を少しでも感じたら二度とその場所には行かないことです。それしか自分を守る方法はありません。二度目を体験するとかなり危険な状態に陥ります。ですから自分を過信せずその場所を離れてください。



今日は長い時間ありがとうございました。

こちらこそありがとうございました。私のような犠牲者がこれ以上現れないことを願ってやみません。









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posted by ぽんきち at 2018/07/06 14:58 | Comment(0) | 夜の連続ブログ小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

夜の連続ブログ小説〜プリンスはBARにいる(一話完結)




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久しぶりに馴染みのバーにやってきた。ここは無口な店主がやってる小さなバーだがいつも客は少ない。それでも俺が知る限りもう20年以上は続いているからなぁ、よく潰れないものだ。

今夜の客は俺と一見育ちの良さそうな男の二人だけか・・・初めて見る顔だが俺と同世代かな?老舗呉服屋の若旦那風な男じゃないか、この店にしては珍しいタイプだな。



しばらくカウンターで飲んでいると男が話しかけてきた。

ここにはいつも来るんですか?

ええ、ちょっと美味しいカクテルを飲みたくなった気分の時だけですけど。

そうですか、私もたまに来ます。お忍びでね・・・なかなか好きな場所で飲めないものですから。

この店の常連にはあまり見かけないタイプですね、何と言うか気品がありますね。

そうですか?世間知らずなままこの年齢になってしまったからかもしれません。私にはあまりにも自由がない。だからたまにこんなお店で好きな酒を飲んでみたくなるんです。



この何とも言えない雰囲気はただ者ではないな・・・どこかで見たような気もするが思い出せない。仕草を見る限り歌舞伎か狂言でもやっているような凛とした雰囲気を漂わせているしなぁ。

私はレールに敷かれた自分の人生がたまに嫌になることがあるんです。もっと自由に生きたかったとよく考えたりします。

もしかして親御さんの商売とか会社を継いだという感じですか?

まぁ、そんなものです。私には選択の余地がなかったし、子供の頃から今の生き方が約束されていました。私は世間一般の人たちが羨ましいんです。自分で生き方を選択できる人生だったらどんなに良かっただろうと思いますね。

その世間一般の代表選手から言わせるとそうでもないですよ。自分の好きなことを仕事にできたならば満足なんでしょうけれど、そんな生き方ができている人たちは滅多にいませんからね。そういう俺も大学を卒業してからはとりあえず就職できた会社で働いているしがないサラリーマンですから。

好きな仕事ではないのですか?

好きとか嫌いとかで選ぶ余裕なんてありませんよ。みんな生活のために仕事を選ぶんです。選択の自由はあっても現実とはそういうものです。むしろ、すべての人たちが自分の好きなことを仕事にしたら大変ですよ。社会そのものが成り立たなくなるじゃないですか。

なるほど、確かにそうですね。誰もやりたがらない仕事は誰もしなくなるとそれはそれで困りますね。生活のためだろうと誰かがやってくれているからこの社会は回っているとも言えますね。

そうでしょ?実際は全体の9割以上の人たちが好きでもない仕事をしてこの社会を支えています。好きなことで食べている人なんて1割もいませんよ。だからそんなことは考えないんです。世の中は甘くないとか、そんなことはやろうとしないことのただの言い訳だと言われようとも、それが現実だとみんな知っているんですよ。



私のように子供の頃から生きる道が決められている人間からすると、それでも選択できるだけでも羨ましいと思うものなんです。ほとんどの人たちが生活のために仕事を選ぶとしても、少なくとも私は許されるならば自分で生き方を選べる人生でありたかったと思ってしまうんです。

そんなに親御さんの仕事を継がないといけなかったんですか?今の世の中は職業選択の自由は認められているわけですから自分で選んでもよかったんじゃないんですか?

それは絶対に許されないんです。自分の家族の問題だけではなく世間が許さないというか・・・とにかく私には他にやりたいことがあっても人生の選択でそれを悩むことさえ許されない。だからチャレンジできるあなた方が羨ましいんです。

ふ〜ん、今時そんながんじがらめの生き方ってあるんですねぇ。ちなみにあなたが本当にやりたかったことって何なんですか?

私は作詞作曲と編曲ですね。音楽が好きなものですから。しかし、普段行くコンサートのほとんどがクラシックなんですよ。本当はクラシックなんて興味ないんです。それでも仕事で行かないといけない。いつも睡魔と戦っていますよ。

はぁ〜、そうなんですか。仕事でクラシックのコンサートに行けるなんて優雅じゃないですか。俺なんて忙しくて好きなアーティストのコンサートなんて何年も行ってないし。

興味のない音楽のコンサートに行っても楽しめませんよ。仕事だから行くわけで、感想を聞かれる度に困ってしまうんです。その良さもわからないのに素晴らしかったと言わないといけない。好きな音楽のコンサートくらい自由に行きたいと思いますねぇ。



好きなアーティストのコンサートにも行ったことがないなんてよっぽど不自由な生活なんだなぁ、一体この人何者なんだ?

ミュージシャンというよりも私はコンポーザーになりたかったんです。まぁ、それも世間一般から言えば夢うつつで現実離れしている話なんでしょうけれど。それでもチャレンジさえ許されない人生なんて・・・自分の人生の意味を見いだすことにはずいぶん時間がかかりました。最近ですかね、やっと自分なりにそれでも意味があると思えるようになったのは。
 
そうなんですか、選択肢はたくさんあっても実際は無いに等しい生き方をしている我々みたいな人間もいれば、あなたのように子供の頃から生き方が決められている人間もいる。自由って何なんですかねぇ?

私から見るとほとんどの人たちが自由に見えます。ただただそれが羨ましいんです。可能性とか秘めたポテンシャルとか、ほとんどの人たちがそれを持っているとしか思えないですね。その使い方を知らないというか、知ろうとしないだけにしか見えません。

う〜ん、そんな風に言われるとそうかもしれないんですけど、とにかくまずは食っていかないといけないし、好き嫌い言ってられないんで。生きるってそういうことだと当たり前に思っていたからなぁ。



おっと、そろそろ終電の時間だ。またここでお会いできますか?

ええ、月に一度ですが水曜日の夜にはこっそりここに来ています。いつかまた水曜日の夜にお会いしましょう。

わかりました、俺もたまにしかここには来ないんですがこれからはなるべく水曜日の夜にしますよ。ちなみにお仕事はどんな関係のことをされているんですか?

そうですね、国の伝統を守る仕事・・・ですかね。今はこれで勘弁してください。

国の伝統を守る?・・・そうですか、大変な仕事みたいですね。また美味しいカクテルを一緒に飲みましょう。



やはり歌舞伎か狂言の世界なのかもしれないなぁ・・・

いけね、終電に間に合わない。急がなきゃ!!







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posted by ぽんきち at 2018/07/06 00:20 | Comment(0) | 夜の連続ブログ小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする